このウェブサイトはサービス向上その他の目的にcookieを使用しています。サイトの閲覧を続ける場合、cookieの使用に同意したことになりますが、お使いのブラウザの設定変更により同機能を無効にすることもできます。詳細はプライバシーポリシーをご確認ください。This website uses cookies to improve your experience. We'll assume you're ok with this, but you can opt-out if you wish through your browser settings. 同意する(ACCEPT) Privacy Policy
アフリカンプリントのStory Behind(後編)
アフリカンプリントのStory Behind(前編)もあわせてご覧ください。
前編でお話ししてきたように、アフリカンプリントには植民支配の歴史が大きく関係していると言われています。後編では、色鮮やかな布を取り巻くガーナの人々の想いを紹介したいと思います。中には胸のキュっとなるものもありますが、背景を知っていただくことで、よりアフリカンプリントの商品に思い入れを感じていただければと思っています。
ガーナ人デザイナーの話
2018年6月、今日に至るまで色々な色味で刷り直され、アフリカ全土で多くのファンを持つパターンを最初にデザインしたというガーナ人女性に話を聞きました。「自信作だったのよ。そのデザインを当時オランダ人の上司に提出すると、全然ダメ、考えなおせと言われたわ。うなだれて別のデザインに取り掛かっていると、数ヶ月後そのデザインが上司の名前で商品化されていた。もちろん不満を訴えたけれど、どうにもならなかった。今も大好きなパターンだけど、どうしても苦い思いを拭うことはできないわ」
某ブランドのマネージャーにも話を聞く機会がありました。数十年にわたり世の中に送り出されてきたアフリカンプリントのパターンがほぼ全て保管されているアーカイブ・ルームを見学させてもらいながら、某ブランドとしての世界への進出について質問をすると、「小規模な貿易ならある程度制限は緩いけれど、大量に海外輸出したり、自ら進出することは認められていないんだ。親会社の競争力を脅かしかねないという判断だろうね。僕たちはガーナのブランドだけれど、残念ながら意思決定権の多くはここには残されていないんだ」と、話をしてくれました。
植民地の歴史が深く関係しているばかりではなく、実は今日にもその影響は重くのしかかっている現実があるようです。
世界中から注目されるアフリカンプリント
一方、マーケットに目を向けてみると、ここ数年新しいブランド名が目につくようになりました。
中でも人気なのが、Hitargetー中国製のアフリカンプリントです。中国製、そのほかのアジア製のアフリカンプリントは流入が始まった当時は、ガーナ人商人・消費者の中でも粗悪な模倣品との評判が一般的でしたが、現在は、安くて良質な中国製ブランドが人気を博しています。上述のマネージャーは、「もはや中国製だからと模倣品、粗悪品の一言では片付けられなくなってきていて、地場ブランドはますます努力が求めらるよ」と話します。
なぜ、アフリカンプリントが中国などアジア各国で生産され、輸入されるようになったのか。業界関係者に話を聞いてみると、ガーナの商人が商機を見出し、VLISCOや様々なブランドから発表されたばかりの新作パターンを中国に送り、大量生産し輸入し始めたのが起源という話もありますが、真偽のほどは定かではありません。
日本製アフリカンプリント
少し話がそれますが、アフリカンプリントは、日本で生産されていた時代もありました。某メーカーのアーカイブ・ルームに当時の布が残されています。時代とともに価格が折り合わなくなり、生産がストップしたようですが、日本との意外な結びつきには嬉しいものがあります。
最後に、“ワックスプリント”ですが、昔は実際に木版ブロックプリントの技術を用い布に絵付けし、ロウを使ったろうけつ染めを行なっていましたが、現在はそれでは採算が合わないため、ほとんどの大規模生産メーカーはプリント布をワックスプリントという名称で販売しています(小規模手工業メーカーは、いまだにろうけつ染めのワックスプリントを生産しています)。
また、時々布に光沢の出る最終加工をしているワックスプリントを見かけますが、これは、「ワックスっぽさを求める消費者向けに、ビニル樹脂のコーティングをしているんだよ」ということだそうです。
奥深い歴史背景のあるアフリカンプリント
非常に奥深い歴史と背景を持つアフリカンプリント。苦い想いもその背景には多く隠れていますが、アフリカンプリント産業は西アフリカにとって一大産業であり、今日も多くの雇用を支え、人々の日常生活に間違いなく彩りを添えています。
アフリカンプリントの起源とされるガーナでは、老若男女がマーケットでお気に入りの布を探し、その布を仕立て屋に持っていき、自分の体のサイズにピッタリ合わせた洋服を仕立ててもらうのが、今も昔も変わらぬ習慣です。結婚式や葬儀など、家族、親戚、友人が大勢集まるフォーマルな場には、十分に準備の時間をもうけ、皆んなが揃って一張羅を仕立てます。
アフリカの人々の生活に深く根ざした素材であることを思うと、アフリカンプリントの商品を手に取った時の想いにも、少し違った想いや愛着が感じられるかもしれません。
アフリカンプリントを用い、ユニークでおしゃれな商品を世に送り出そうとしているアフリカ発のブランドが数多く存在します。“Proudly from Africa(プラウドリー・フロム・アフリカ)”でも扱いございますので、ぜひお気に入りを探してみてください。
“Proudly from Africa(プラウドリー・フロム・アフリカ)”掲載商品を、実店舗にてお取り扱いいただける先を募集中です。
またブランドによっては、コラボ商品の製作や受託生産(OEM)の受注も可能です。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:[email protected]
Sources:
Anne Grosfilley. (2018) African Wax Print Textiles.: Prestel.
http://www.vogue.co.uk/gallery/eight-stories-behind-traditional-african-wax-prints
http://mazuridesigns.com/blog/2016/2/4/a-history-of-african-wax-prints
https://beyondvictoriana.com/2011/04/10/african-fabrics-the-history-of-dutch-wax-prints-guest-blog-by-eccentric-yoruba/
http://www.shopglobalmamas.com/(X(1)S(ffjiwu4vykfyh2nk05znayoz))/Info/HistoryAfricanBatik?AspxAutoDetectCookieSupport=1
https://www.pri.org/stories/2015-12-27/these-beautifully-colored-textiles-have-been-infused-rich-history-and-culture
http://www.messynessychic.com/2015/10/30/made-in-holland-the-chanel-of-africa/
https://enam98.wordpress.com/2016/12/11/names-meaning-of-african-print/
https://naaoyooquartey.com/2015/04/15/do-you-know-the-meaning-of-the-designs-on-your-waxprint-clothing-4-13-2015/
https://qz.com/769792/west-africans-are-ditching-dutch-wax-prints-for-chinese-real-fakes/
http://madame-tay.blogspot.com/2014/01/know-your-wax.html
https://www.myjoyonline.com/business/2017/september-19th/textile-industry-needs-attention-to-boost-local-manufacturing.php
http://madame-tay.blogspot.com/2014/01/print-stories-nkrumahs-pencil.html
https://www.urbanstax.com/fabric-of-the-week-guineafowl-wax-print/
https://www.act.is/media-centre/press-releases/actis-acquires-vlisco-group/
http://digitalwaxprint.com/iterations/history-of-wax-resist-printing/
Related Posts
ganasに記事掲載〜“ガーナの無添加ドライフルーツ「イヴァヤファーム」が日本上陸、種や皮はガスと堆肥にリサイクル”
途上国や国際協力・開発をテーマとする硬派のNPOメディアganasに、Yvaya Farm(イヴァヤ・ファーム)の記事を掲載いただいています。 “ガーナ発のドライフルーツブランド「イヴァヤファーム」(会社名:ピュアアンド …
伝統手工芸×デザイン=バッグブランド AAKS
2014年、西アフリカガーナでバッグブランド“AAKS”が誕生。ブランドを立ち上げたのは、当時20代後半だったAkosua Afriyie-Kumi。それから5年以上が過ぎ、AAKSは、ELLE、VOGUE、Forbes …
雑誌『Veggy』にスキングルメ掲載
2020年12月号の『Veggy』(キラジェンヌ株式会社)サステナブル特集で、“ガーナ発の100%ナチュラルコスメ 肌においしく、地球にやさしいスキングルメ”というタイトルで記事を取り上げていただきました。 Veggy …
Kericho Gold オンラインテイスティングイベント
2020年9月12日(土)、ケニア発プレミアムティーブランド Kericho Gold(ケリチョー・ゴールド) のオンラインイベントを開催しました。 メーカー関係者3名と4 0名のお客様、そしてゲスト講師として日本紅茶協 …